北海道・06夏


『夜』

 

8月14日(土) 
 
…。
 
7時、家族連れの声がうるさい。
 
毛布を頭までかぶり二度寝を決込む。9時にもう一度目が覚め、三度寝を諦めもぞもぞとベッドを抜け大浴場
へ向かう。数人の先客がいたが、十分ゆったりすることができた。湯船の窓から見える太平洋の空は雲が厚
くかぶさっていた。
 
風呂上り、火照った体を冷ますため甲板に出て風に当たる。気持ちのいい風が強いぐらい吹いている。持って
きたツーリングマップルとるるぶ、ツーリングGOGOの三冊を読み比べ、行きたいところの目星をつけた。東西
南北どこに行くのか全く決めていない。ただ決めていたのは15日の夜に積丹半島付近で友と待合わせをす
ることのみ。
 
出発前にコンビニで買っておいたコーヒーとサンドウィッチを食べ終わるころ、旅本の流し読みが終わった。ま
だ正午にもなっていない。何もない一日、何もしなくてもいい一日。MP3ウォークマンを聞きながら持ってきた
文庫本をデッキで読んだ。飽きてきたらデッキの上を散歩しながら、ごくたまに広がる青空や雲の間から漏れ
る光を写真に撮った。
 
 
ここ二ヶ月ほど休日返上で働いてきたので、久々の心の休日を満喫した。船旅はのんびりしていて快適だ。
 
 
夕方になり、夜に備えて睡眠をとることにし、ベッドで横になるがなかなか眠れない。そういえば昼寝なんてし
ばらくしていないことに気付く。ベッドでまた少し本を読み、目を閉じた。
 
18時過ぎに目が覚め、お腹が空いていることに気付く。船に乗ってから朝のサンドウィッチしか食べていなか
った。船内で食料を探し、カレーやカップめんといった即席の自販機があったので、たこ焼を買って胃を満たし
た。
 
19時半頃、下船の準備を始めフロントへ行くとたくさんの人でごった返していた。順々に階段を下りバイクを停
めた階に行く。広いのでバイクを停めた所を忘れたら大変だ。停めた場所を記したカードが各階に置いてある
のを取っていたのでなんなくバイクの元へたどり着く。
 
荷造りを終えたものの、出口に近い場所から順番に出て行くのでまだまだ時間がありそうだ。自分の階の順
番が回ってきたころには暑さと排気ガスでぐったり。先に車がはけ、いよいよバイク。各々エンジンをかけ、み
んな今か今かと出発の順番を待つ。早くここから抜けないと、排ガスで窒息しそうだ。いよいよ、自分が出発
する順番が回ってきた。船の底から上へ上へ登っていき、下界につながる扉を抜ける。
 
ようやく船を降り、北海道を走り出す。すっかり日が落ち暗くなっていた。風は冷たく今の体には気持ちよく感
じた。幹線道路のT字路で右に曲がり、初めのGSで給油を行う。左に曲がって苫小牧方面に向かう人が多
いようだ。この時間、みんなどこへ向かうのだろう。給油後、セイコーマートが懐かしな〜と思いながら隣のフ
ァミリーマートに入った。少し腹ごしらえをして北上に備えた。
 
向かう先は留萌を少し北へ上がった苫前にあるキャンプ場。
 
意気揚々と北上を始める。夜の道では北海道らしさを感じることは少ない。北海道らしさを感じるにはもっと東
に向かうのがいいだろう。途中、千歳付近で道に迷うものの、滝川方面へ向かう。夜のせいか、車が少なくて
快適に飛ばし、どんどん距離が稼げる。広い北海道でもCLで走れば無理をしなくても楽に目的地にたどり着
ける。
 
途中、一面のひまわり畑が広がる北竜町を走る。夜だからこのまま走り抜けたが、急遽引き返したひまわり
畑の中に入った。ちょうど月とひまわりがきれいに見えたからだ。
 
太陽に照らされる向日葵とは対照的に向月葵と言ったところか。
 
夏の北海道を走っていて気付いたが、虫がかなり多い。ヘルメットのシールドはたちまち虫の死骸だらけにな
ってしまう。向日葵畑ではゴキブリ並の大きさのコオロギが走り回っていた。北海道は生態系が異なるの
か??
 
留萌で海に出てそのまま北上を続けた。途中、丘の上に数機の風車を見つけたので、立ち止って写真を撮っ
た。
 
 
目的地のキャンプ場かと一瞬勘違いしたが、目的地はまだまだ北にあることを地図で確認する。今回の旅に
3台のカメラと二本の三脚を持ってきた。モノクロフィルムをつめた中判カメラのハッセルブラッド(正方形の
写真が撮れる)と、カラーフィルムをつめた一眼レフPENTAX LXと、あとコンパクトデジタルカメラ。
 
寄道を繰返し、すっかり丑三つ時を越えた頃、丘の上に無数の風車を発見した。先ほどとは比べ物にならな
いぐらいの風車だ。一気にテンションが上がるが、なかなか入り口が見つからないく辺りをぐるぐる迷走する。
ようやく入口を見つけて風車の下にたどり着いたが、今度はキャンプ場の場所が見つからない。キャンプして
いる人も見つからない。ようやく一台のバイクが停まっているのを見つけた。利用している人は一人だけのよう
だ。
 
時間は3時を過ぎていたが、テントをたてるより三脚をたて夜空を撮影した。周りにさえぎるものがないから空
が広い。北海道ならではの景色だろう。
 
銀マットを引きその上に寝転がりずっと夜空を眺めていた。
 
星を眺めていると、うっすらと空が明るくなってきた。じわじわ明るくなってくる空と地平線に沈んでいくオリオン
座が何ともいえなく神秘的だった。
 
空が赤く焼けてきた。風車が気持ちよく風を受け回っている。
 
空が完全に明るくなった6時頃、銀マットの上で目をつぶった。

 


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