北海道・06夏


『世界遺産』

 

8月19日(木) 
 
湿度100%のなか目が覚める。雨はしとしと降っているようだ。湿気上等である。
濡れたテント、湿ったシュラフをカビが生えませんようにと祈りつつたたんで片付ける。
 
雨具を装備し雨雲の中の知床峠を越えた。視界が悪く、霧のような雨滴が降り続いている。峠を越え、知床半島の北
側に出ると、目を細めるほどの眩しい太陽が出ていた。峠一つで天国と地獄を分けているようだ。
 
世界遺産区域で乗用車進入禁止手前の駐車場まで行く。ここで降りて知床五湖を散策する予定だ。すでに乾いてい
る雨具を脱ぎ準備をするが、入り口の看板に、「月の輪熊出没中のため2湖までしか行くことができません」と書いて
あった。熊も含めて世界自然遺産なので仕方ない。2湖ぶんを歩いた。森が濃く、今までと違う北海道を感じることが
できた。熊には遭遇しなかったけど、鹿に遭遇した。
 
 
 
バイクを停めた駐車場より下山しビジターセンターへ向かう。ここから乗用車で行くことのできないカムイワッカ湯の滝
へのバスが出ている。開店したばかりの食堂で早めの昼食をとり、バスに乗り込む。雨が上がるとすっかり真夏の陽
気だ。
 
バスでは景色を見るまもなく意識を失い、目的地に到着した。崖を登り靴のまま川を上る。川の水が温泉なので温か
い。ばしゃばしゃと川と滝を登っていく。ずるっと滑ったら大変だ(カメラが)。
 
滝つぼとなっている温泉につかろうと思ったけど、人が多くて断念した。ここは水着必須だ。どうってことのない場所だ
が、知床まで来たら寄ってみる方がいいと思う。知床は高校の修学旅行で来た。その時は観光遊覧船で知床半島を
眺め、途中アザラシに遭遇したことを覚えている。
 
今日で一日早く帰るKとはお別れだ。斜里まで一緒に走り、Kは稚内目指し北上ルート、自分は襟裳岬を目指し南下
ルートを目指す。クラクションを鳴らし信号で左折し、斜里岳を右手に見ながら車のいない快適なルートを走った。た
ぶん北側はこのまま晴れるだろう。なぜなら、これから越えようとしている目の前の山、根北峠が黒い雲を堰き止めて
いる・・・。間違いなくあちら側は雨だ。
 
晴れていると真夏、汗をかき日焼けをする。雨が降ると凍えるように寒い。雨、晴れ、再び雨と風邪をひくには最適な環
境だ。苦行だ。
 
再び中標津に到着し、海沿いを南下する。途中、風蓮湖があったが、寄り道する気力がなくただただバイクにしがみつ
き走った。16時頃、道の駅「スワン44ねむろ」に到着した。久しぶりにバイクから降りた。
 
ビジターセンターで温まり、今日の寝床をツーリングマップルで探した。この辺りは温泉がなくキャンプ場も見つからな
い。外にあった看板に目がついた。根室の宿が沢山載っている。今日はもう外で寝るのはごめんだと思い、携帯を握り
締める。3件ほど電話したがすでに満室、4件目で空き部屋があるとのこと。夕食朝食あわせて6千円で宿を取った。
近くで見ていた横浜ナンバーの大型バイクのライダーも今日は宿を取ろうかなと話しかけてきたので、早めに電話しな
いとなくなりまっせと言っておいた。同じように電話をした結果、数軒は満室で結局同じ宿になった。
 
後で分かったことだが、ここまで民宿がいっぱいなのは、前日に根室の漁船がロシア船にだ捕された事件が起こり、
報道陣が部屋を抑えていたためだった。
 
それじゃぁ、後でと先に出発し根室に向かう。雨は小雨になり霧へと変わった。根室駅から数キロほど走った場所に民
宿があった。よく見つられたと自分に感心する。バイクは専用のシャッターの中のガレージに停めさせてもらう。荷物を
解き濡れたテントを干しておく。案内された部屋は軽く6人は泊まれそうな大きな部屋だった。一人で畳の上に大の字
になった。これからは雨の日は宿に泊まると硬く大人の決心をした。
 
夕飯の前にお風呂に入れてもらい、寒さで固まった体を解かした。夕飯はさすが漁港の町根室だけに、花咲ガニ・ホッ
ケ・お刺身と海の幸尽くし。都会のいい所で食べたらこれだけで5千円ぐらいいきそうな豪華さ。道の駅でであったライ
ダーと山口から来ていたライダーと同じ席になったけど、お互い無心に無言でかにを食べた。
 
 
ライダーに話を聞くと、二人とも北海道はもう5回以上毎年来ているそうだ。北海道リピーターライダーはかなり多そう
だ。やはり夏の北海道は特別な存在のようだ。自分は一度行った場所へは何度も足を向けようと思わないが、北海道
は一度では回りきれない。まだまだ行きたい場所、行っていない場所は沢山ある。あと最低一回は行きそうだ。季節は
夏でお願いします。
 
テレビでは漁船だ捕のニュースと、明日もまた雨の無情なウェザーニュースが流れていた。
 
大きな部屋のど真ん中に布団を引き、壁一面に濡れた衣類を干した。やることもないので布団を抱きしめながら眠り
についた。
 
漁港の民宿最高だ。
 
民宿たかの
  

  

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