北海道・06夏


『ラストラン』

 

8月22日(日) 
 
朝、物音で目が覚める。もう少し寝ていたかったが、どこにでも早起きの人がいるものだ。通路に出てソファーで朝ご
はんを食べぼーっとして過ごす。携帯が鳴り、今どこって聞かれたので「海の上」と答えるとさすがに驚いていた。今世
間はお盆であることを知らなかった友人からの電話であった。
 
朝10時、八戸港に着岸する。海流のせいか、短い距離なのにかなり時間がかかった気がする。路肩を示す矢印の標
識が見当たらないことで本州に帰ってきたことを実感する。朝だというのに気温は30℃を超えている。今日中に家に
帰らないと明日からの仕事に支障をきたす。体力にこの暑さと700キロの距離を考えるとめまいがしそうだ。無駄な寄
り道一切なし、帰るだけが目的の移動は雨の日のツーリングよりもある意味たちが悪い。できればバイクと荷物を捨て
て飛行機で帰りたいぐらいだ。
 
迷わず高速に飛び乗る。下界から閉ざされたワープ空間。同じような景色が流れ標識の地名だけがびゅんびゅん変
わっていく。東京まであと何キロという数字がどんどん減っていく。風の抵抗がきつくアウターをばたばた波打たせる。
アウターの下は半そでだったためか、波打つアウターに打たれて二の腕が真っ赤になった。
 
150キロ走り(90分ほど)給油をかね30分ほどサービスエリアで休憩する。幸い、大きな渋滞にはまることなく、単純
な動作を4回繰返し、牛タン、ずんだもち、餃子を食べたころ首都高にはいる。意外にもフェリーで大洗に帰ってくるの
とあまり時間的には変わらなかった。
 
日が暮れているのに空が異様に明るい。ここには広がる大地も降り注ぐ星空もない。しかし、首都高の高架下に広が
る街の明かりは懐かしくさえ感じた。旅の疲れが吹き飛ぶのに十分のものであった。東京の星は地上にあった。
 
(エンディングテーマ「地上の星」)
 
(終)
    

  

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